2018年3月24日土曜日

ブラックパンサー

興業収益でSW8を越えたと噂のブラックパンサーを観てきた。
開始から3週間程経っていたので特別混んでいないが、それなりの人入りだった。
ハッキリ言って期待はしていなかった。また、いつものマーベルニューヒーローのスタートアップ映画だと思っていたが、いい意味で期待ははずれた。
これまでと同じような、何故ヒーローになったか、というような説明部分は殆ど無く、ヒーローとしての役割を描いていた。
特にワカンダ王国が超先進国として描かれており、アフリカ人にとってはくすぐったい程のファンタジーである反面、白人主義の西洋文明側の人間にとっては、それはある種の刺激を伴う感覚に誘われる不思議な体験であった。
物語は始終、このアフリカの超先進国の価値観を踏まえて進行していく。安易な正解はなく、主人公も歯切れがいいだけの薄っぺらい感情だけに流されるようなバカではない。
トニー・スタークが一作目で見せた葛藤に近いものがあった。ただ、アイアンマン1では、結局副社長の悪事が全ての根幹だったとして、あっさり全ての問題が片付けられてしまったが、問題は貧富の差である南北問題であり、それはけして解決していないのだということは、とりあえず舞台の裏に仕舞い込んでアイアンマンは続編を作っていったが、ブラックパンサーは敢えて、現実問題を逃げずにそれでいて活劇として成功した希な作品になった。
今後、続編でこのテーマが深められるか、否かは不明だが、シビルウォーで顔出ししたチャカ王子が一作目でここまで深みをもって描かれているのは高く評価されるだろう。ただ、ハリウッドの大作でこの路線を続けていくのは恐ろしく困難なことと予想される。
キャプテン・アメリカよりシリアスなヒーローが現れたことで、いよいよキャプテン・アメリカの役目も終わりなのだろう。

・ブラックパンサー ・・・ 8点

次回はインフィニティ・ウォーかパシフィック・リム2、さもなくばデッドプール2でお会いしましょう。